joy to keyと仮想フルスクリーンの遅延、それとストリートファイター6と非想天則の比較で分かった面白い話について

前回に続く遅延計測記事です。

 

始めに

EVOJAPAN2024非想天則大会も開催が決まり、一つ久々に遅延計測でもしてみるかと前からちょっと気になっていた点について調べてみたいと思います。

今回調べたいのは以下の2点。

①joy to keyでコントローラーをキーボードにアサインした場合、ラグはどの程度あるのか。

②ウインドウモード、フルスクリーンに加え仮想フルスクリーンの場合の遅延について

特に①はEVOJAPAN2024の準備にも関わってくるので気になるところですね。

なお、本調査はあくまで自分の環境にて細かい設定まで煮詰めない範囲での簡易的な測定になります。今回の結果を覆す測定結果や資料による指摘などはむしろ大歓迎です。

 

測定方法

今回の測定環境は以下の通りです。

コントローラー マイコンボード型PSコンバーター
モニタ この前買った中華モニタ
PC Windows10 RTX3090

調査方法を簡単に説明すると、ボタンを押した瞬間にLEDが光るコントローラーを用意し、LEDが光ってからゲーム画面に反映されるまでをiphoneの240FPSカメラで撮影してそのコマ数をカウントするという手法です。各計測10回ほど繰り返して、最小値と最大値を出しています。4コマで一般的な格ゲーで言う所の1フレームになります。

かなりアナログな手法ですが、詳しい数値解析はそれなりの機材を持ってる人にお任せして、ここではとりあえず傾向がつかめればヨシという事で一つ。

詳しくはこれらの過去記事を参照してみて下さい。

 

調査① joy to keyの遅延について

まずは①です。これは簡単で、非想天則を起動後にコントローラーを刺し、joy to keyでボタンをキーボードにアサインした状態での遅延を測っていきます。

結果は以下の通りになりました。いずれもフルスクリーン状態です。

コントローラー 最小1コマ、最大6コマ

joy to key 最小1コマ、最大6コマ

 

見て分かる通り、joy to keyの遅延は全くと言って良いほど無さそうです。
オフイベで使えないコントローラーは基本的にはjoy to keyで対応させる方法で問題無さそうで、これは個人的にも結構安心しました。今回のEVOJAPAN2024含め当面のコントローラー対応ツールについては原則joy to keyで行きたいのですが、ここの遅延が大きかったら流石に申し訳ないですしね…

 

※追記、joy to keyについてなんですが、設定⇒全体設定内にある内部処理速度を16倍にして測定していました。

なんかjoy to keyラグあるんだよなあという話を耳にしてここに思いあたったので試しに通常速度に戻してみた所、最小は3コマ程度なんですが最大側が大きく振れて12コマという数字も出てきました。平均すると1.5F程度の遅延になりそうなので、joy to keyはなんか遅延感じると思う人は是非この設定を試してみて下さい。

 

調査② 仮想フルスクリーンの遅延について

14年前のゲームの非想天則には当然仮想フルスクリーンなどと言う機能はついていない為、ちょうどパッと思いついたイース8と、最新ゲームで遅延に関してはバチバチに拘っているであろうストリートファイター6(体験版)にお出まし願いました。

まず参考記録ですが、非想天則のフルスクリーンとウインドウモードを改めて測定して見た所、

フルスクリーン 最小1コマ、最大6コマ

ウィンドウモード 最小5コマ、最大10コマ

となりました。概ね前回の記録と同じく、ウインドウモードでは1F位遅延してそうですね。測定誤差とは言えない明確な差がついていると思います。

続いてイース8で試してみます。

仮説としてはこれもフルスクリーンだとちょっと遅延が少なくなりそうですが結果は…

 

フルスクリーン 最小9コマ 最大13コマ

仮想フルスクリーン 最小9コマ 最大13コマ

ウインドウ 最小9コマ 最大13コマ

 

なんと全部一緒でした!これは意外。

 

そして最後に令和最新、遅延に関してはバチバチに気にしているであろう

ストリートファイター6(体験版)です。遅延軽減はONにしその他はデフォルト、非想天則と同じくキーコンフィグモードで測定します。ちなみにこちらは固定のフルスクリーンモードは無いようです。

ボタン入力(LED点灯)してから、画面に少しでも変化が起きるまでの時間を測定しています。以下の例だと強攻撃欄が光り始めてますね。

f:id:deresute-uwaraba:20240311153325j:imagef:id:deresute-uwaraba:20240311153338j:image

 

結果は

ウインドウモード 最小7コマ、最大11コマ

仮想フルスクリーン 最小6コマ、最大11コマ

 

なるほど…

結果としてはウインドウと仮想フルスクで差は無いという事で良さそうです。

ただ、スト6に関してはここで話は終わらないんです。

スト6の試合中のインプット表示で測定すると…

 

ここですね。流石にここの表示は入力を受けつけ次第0Fで即座に出すと思うんですが…

f:id:deresute-uwaraba:20240311153354j:imagef:id:deresute-uwaraba:20240311153402j:image

 

ウインドウモード 最小16コマ 最大18コマ

仮想フルスク 最小15コマ 最大17コマ

 

おっそ!なんじゃこれは!

 

…と思いつつも実は察しはついていて、多分ですが、ネット対戦とオフラインでの遅延の差による操作感の違いを抑える為、オフラインでは固定の遅延を2,3フレーム入れてるんだと思います。

 

まとめ

今回の調査で言えるのは、今どきのゲームであればとりあえず画面モードは好きなものを選んで良さそうです。

面白いのは仮想フルスクだウインドウモードだという以前に、非想天則のフルスクリーンの遅延が異常に少ないことですね。

これも別にそれほど意外でも無くて、レガシーな技術っていうのは事レスポンスに関しては最新技術を凌駕する事があります。例えばブラウン管ディスプレイ然り、DPP然り。

非想天則もリリース日が2002年DirectX9.0を使っているのでそういう事もあるんでしょうね…

中々面白い知見でした。