ブラウン管とDPPの遅延について

 

前置き

※プロではないので、記事内に認識違い等ありましたらご容赦ください…
良かったらコメントやtwitter等でご指摘いただけたら嬉しいです。

 

いきなりのクソコラですが、この画像15年前位のPCゲームシーンでは結構当たり前の様に言われてた環境です。
実際ブラウン管モニタは液晶より低遅延というのは割とよく聞く話では無いでしょうか。今でもレトロゲーの実機RTA勢やSTG音ゲー勢にはブラウン管を愛用する勢力が現役で残っているとか。

またDPPというのはDirect Pad Proの略称で、USBではなくパラレルポートと言う今ではほぼ絶滅したレガシーなポートを使うコントローラーです。
このパラレルポート、通信方式がUSBと大幅に違い、こと遅延ということに関してはUSBよりも相当に少ないらしいのです。
ものすごく大雑把に例えると、パラレルポートがコントローラーの状態を「望遠鏡で直接見てる」としたら、USBの通信は「定期的に伝令を走らせてコントローラーから現在の状況を書いた封書を受け取り開封確認する」位の違いがあるとか。
(もちろん機械内の話なので上の伝令を走らせる作業は秒間数百~数千回行われていますし、RPG等入力にシビアのゲームでもなければ気にならないレベルなのは間違い無いです。)

自分も大昔はDPPコントローラーを使っていて確かにレスポンスが良かった印象はあり、またswitchでカービィSPDXの刹那の見切りをプレイした時のスコアは子供の頃SFC実機+ブラウン管テレビでプレイしていた時の記憶と比べると老化の一言では片づけたくない程の遅さが見受けられます。

このあたりいつか検証したいしたいと思っていながらずっと放置してたのですが、ようやく思い立ってパラレルポート搭載PCとブラウン管モニタを購入したのでざっくり比べてみました

ブラウン管は本当に遅延が少ないのか

これは、ノートPCの画面とブラウン管モニタをクローン表示して、240fpsで撮影した動画をコマ送りした中の1枚です。

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これは本当に驚いたのですが、古いノートPC付属のゲーミングでも何でもない液晶でも、表示され『始める』タイミングの遅延はほぼ無いか、走査線のタイミングではむしろ液晶の方が早い場合すらありました。
ただ、走査線が走ればスッパリ次の絵に切り替わるブラウン管に対して、液晶はうっすらジワジワ次の画像に切り替わって行き、ノートPC標準クソモニタでは綺麗に次のフレームに移るのには1F以上かかっていました。(これが所謂「応答速度」って奴ですね)

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こちらはさっきの画面の1コマ後(1/4F後)の画像。
液晶の方は何だか中間部分の混じったぼやけた画像になっているのに対してブラウン管は走査線(明るくなっている部分)が通った所はハッキリクッキリ次のフレームが表示されてます。

じゃあ実際の所人間の目で見るとどうなの?という所で、
次に反射神経測定ソフトで反応速度の結果を比較してみました。
コントローラーは同じものを使用し、同じPCからクローンで液晶とブラウン管に出力しています。

これが液晶画面を見て押した結果

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こちらがブラウン管を見て押した結果。

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数字だけ見ると殆ど差はなさそうです。
実際もっと回数を重ねてみると僅かにブラウン管の方が早いかな?という感触はあるのですが、平均すれば1F未満、四捨五入すれば0になるレベルには収まりそうです。

DPPは本当に遅延が少ないのか

これもブラウン管と同じく反射神経ソフトで比較してみました。
パッドはDUALSHOCK2の同じ個体を使用し、ブラウン管モニタで実施しています。

USB変換機の結果

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さっきと同じ画像ですがDPPの結果

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こちらはDPPのレスポンスの速さが明らかに見える結果に。
USBは1~2フレ位は遅延してそうですね…割と無視できないレベル。

 

結果

これは凄く意外だったのですが、ブラウン管は思ったより影響は少なさそうです。
応答速度の速いゲーミングモニタがあるなら敢えてデカくて重いブラウン管を買う必要はほぼ無さげ。(HDMI出力が遅延に悪さする可能性はあるかも…?)
ただ、原理的に応答速度ほぼ0のブラウン管の鮮明な画像はちょっと癖になりそうです。天則程度の画質だとドットが良い感じに潰れるのも良い感じ。

DPPは遅延改善効果結構高そうなので手を出してみる価値あるかも。
ただ、ポート自体は現役PCでも増設できるんですが、肝心のドライバが32bitにしか対応していないという壁が大きくのしかかるんですよね…

と、色々実際に調べてみましたが、身も蓋もない事を言ってしまえば対戦ゲームにおいてこのメリットを享受できるのはネット対戦だけなんですよね。今どき現場でブラウン管+DPPで行われる事なんてまずないので、オフ大会志向のガチ勢は普段からいつものUSB機器を使っといた方が良いのは間違いないかもしれません。

 

※より正確な方法で遅延を測定してみました。
 こちらも是非ご覧ください

 

frofile1p.hatenablog.com