ブラウン管とDPPの遅延について・追加検証

前置き

前回の検証は、最終的な判断は大きくはブレないだろうという仮定の下、俺の反射神経をもとに数字を出していました。

ただ、検証という言葉を使うにはあまりにもアナログで信頼性も低く、また相対的な評価しか出来ないという欠点、さらには俺の反射神経のパンピーぶりがモロバレするという点が気がかりで、もっとこう何か絶対的で、定量的な測定が出来ないものかと昨日一日頭を悩ませておりました。

実際にこの調査をする方法はわかっていて、コントローラーをボタンの入力と同時にLEDが光る様な改造を施せば良いのです。LEDの応答速度は概ね100ナノ秒と言われているので、ミリ秒オーダーでガタガタ言ってる遅延界隈からすればゼロと言っていいレベルです。あとはこのLEDと画面を同時に撮影して、LEDが光るのと画面に反映される時間の差を測ればボタン入力から画面出力までの遅延が測定できます。
実際にこの方法で検証している人も割といます。

ただ、流石に一個コントローラーをお釈迦にして、しかも中をこじ開けて改造するのは自分でやるにはあまりにもめんどくさ過ぎる。どうにかしてありもので何とかならないか。
なんかボタンを押した瞬間光るようなコントローラーでも無いかなあとショップを覗くものの、中々都合の良いものはありません。

そりゃそうだよなあ、コントローラー持つ手元なんか見ねえし光ったところでウザいだけだし…と手元を見ると…

 

 

あ…

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あああああ!

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あった!押した瞬間光るボタンがあった!

 

…いや、でもダメです。このボタンはあくまで十字キーとアナログスティック、どっちをXY軸として使用するかを切り替えるボタンであって、ボタン入力としては認識しないのです、LEDが光ると同時に何らかの入力がされなければ…

 

 

 

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風呂入る式遅延測定装置』、爆誕

 

 

測定方法

茶番はこの辺にしておきまして、とりあえずなんとかあり物で拵えた測定装置です。
非想天則のキーコンフィグ画面でアナログスティックを上に固定したPS2コントローラーのアナログボタンを押せば、押した瞬間LEDが光ると共にコントローラーの↑キーが入力され、画面に反映されるはず、という寸法です。

あとはこの様子をiphoneのスローカメラ(240fps)で撮影し、LEDが光ってからキーが反映されるまでどれ位時間がかかるかを測っていきたいと思います。

実際の画像で示すと、

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これが、

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こうなってから、

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こうなるまでのコマ数を測定しています。

ただ、一回だけ測定すれば良いのであれば楽なのですが、非想天則がコマンド入力を受け付けるタイミングも無視できません。
基本的に1フレーム1コマンドのはずなので、例えば0.99フレームにOSがコントローラー入力を受け付けたとすると、非想天則は1フレーム目に描写を始めるはずです。
一方、1.01フレームにOSが受け付けたとすると、非想天則の描写開始は2フレーム目になってしまいます。

上記に加え他にもUSB変換機やDPPの応答周期など影響のありそうな部分は色々ありそうですが、この辺は結局一定の範囲内に一様に分布するはずなので、試行回数でゴリ押します。

というわけで、最低20回以上測定して最大値と最小値を記載するようにします。
所詮240fpsカメラなのでこの回数で大体の傾向は掴めるでしょう。

測定結果

昨日の調査と同じ構成で測定した結果は以下の通り。
ちなみに4コマで1フレームになります。

Windows7

液晶モニタ+USB変換機    最小 7コマ 最大 12コマ
ブラウン管+USB変換機    最小 7コマ 最大 13コマ 
液晶モニタ+DPP       最小 2コマ 最大 7コマ
ブラウン管+DPP       最小 1コマ 最大 7コマ

おおむね昨日の検証結果通りになりましたね。

やはりDPPの改善効果は大きく、1Fを超える差がつくことになりました。
昨日の検証時点でもある程度分かっていましたがこれは思ったより大きい。
USBの美鈴の小パンよりDPPの射命丸の小パンの方が早く出てしまいます。

一方液晶とブラウン管の差はやはりそれほど大きくない模様。
液晶は応答速度に応じてジワジワにじみ出る様に表示されるのに対して、
ブラウン管は走査線が通り過ぎるタイミング次第といった所。
この差の影響についてはどちらかというと前回の反射神経測定の数値の方が意外と信頼できるかもしれません。
結論としてはブラウン管をわざわざ買うほどではないというのは揺るがなそうです。

 

続いて普段使いのWindows10+LGの65インチ液晶テレビでも検証してみました。
こちらはWindows10はウインドウモードでは常に3F遅延しており、フルスクリーンにするとその遅延が切れるという説を検証しています。
DPPは当然つながらないのでUSB変換機で測定しています。

 

Windows10 + 液晶テレビ + USB変換機

ウインドウモード    最小 13コマ 最大 18コマ
フルスクリーン     最小 8コマ   最大 12コマ

 

3Fとまでは言わないものの、やはり明確に遅延していますね。
少なくともwin10のウインドウモードは論外です。
ブラウン管やDPPといった今ではまともに入手できない様な環境と違い、
こちらはフルスクリーンにするだけで大幅な改善が見込めます。
シビアなゲームをプレイする時は必ずフルスクリーンでプレイしましょう。(多分仮想フルスクリーンもダメ)

…かく言う俺も「現役退いて久しいので下手にはなってるだろうとはいえ、いくら何でもここまで下手になるか?」とヘコんだ時期があったのですが、配信等の兼ね合いでウインドウモードでばかりプレイしてた時期だったのでこいつが主因だったのかもしれません。

 

こんな感じでした。積年の疑問にようやく終止符が打てた気持ちです。 
この測定装置はプレステパッド変換機とDUALSHOCK2とスロー撮影が出来るスマホがあれば誰でも簡単に作れるので、よかったら皆さんも自分の環境でお試しください。

…いや、こいつらも今の環境からは割と死滅してるのか…?