雑に読んだ漫画感想3 「一平」

今日読んだのは「一平」

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雑に読む漫画を探すとき一つ好きな遊びとして、露骨に古い絵柄の漫画を1,2話読んで「古wwwwww」という気分に浸る事があります。この漫画もそのノリで選んだ作品。
ただ、この作品は蓋を開けてみればそこまで古くは無く、自分も物心ついた中過ごした平成初期位が舞台で、絵柄も十分サラッと読めるレベルの物でした。

 

あらすじ

剣道一途の熱血漢・桜井一平は憧れの剣道家を追い自らも警察官の道へ。様々な事件や人々との出会いの中で成長し、派出所勤務の巡査から生活課刑事へと警察官としても成長していく。笑いあり涙ありアクションありの青春警官物語!

 

序、中盤は警察と剣道の二つを軸として一人の男の成長を描く物語として、非常に骨太で読みごたえがあります。
警察モノと剣道モノはどっちもそれなりに単独としてジャンルを形成する程度には確立してて下手するとどっちらかりそうな所もありますが、ダブルテーマのどちらに重きを置くか自体をテーマとして上手く扱っており、かつ最終的にはそれに明確な答えを打ち出しています。安易に「俺はどちらも捨てない男になる」みたいな展開にしないのは非常に好印象。
色恋沙汰も多分に含まれているものの、物語に明るさや清涼感を吹き込みながらも上記のテーマを絡めた全体的にビターな展開が続くため、男の成長という軸もぶれずにこちらも好印象。

ただ、問題は中盤以降でタイマフィアと戦い始める辺り。
こいつらが絡むと途端にタダのアクション刑事物に成り下がり、折角適度なリアリティを保って上手く書けてた主人公の姿が一気に空想の物へ吹っ飛んで行ってしまう印象がありました。
このタイ編が終わって日本に戻って来てからはまた適度な現実感を感じられる(火曜サスペンス劇場くらいの)警察生活が見られるのですが、最終編でまたマフィアが絡んできてダイハード展開が始まる。

アクション刑事物としては寧ろ良く描けてる方ですらあると思うんですが、どうしても前半の警察官としての成長ぶりの方が綺麗なストーリーに見えてしまった為、このギャップに強烈な違和感を抱いてしまいました。

あと1点苦言を言うなら、全編にわたって「こういう」を「こうゆう」って書いてしまっている件。比較的知的な雰囲気を持った漫画のハズなのにこれは結構ゲンナリします。

 

と、明確に疑問を感じる部分はあったものの、序中盤は間違いなく面白く終盤も破綻するという程では無かったため十分面白いと思いながら読み切れました。
全体で18巻と少し長めですが、暇つぶしレベルなら十分オススメは出来ます。
特に10巻の前半位で一度非常に綺麗に物語がまとまるので、そこまででも読んでみるのも一興かと。

 

雑マンガ感想前回

 

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